
マウスピース矯正は、透明で目立ちにくく、取り外しができる手軽さから、多くの方が利用する矯正方法となっています。
しかし、治療中に歯が計画通りに動かず、アライナー(マウスピース)が合わなくなってしまう「ズレ」が生じることがあります。
このズレは、治療期間の遅延や、望む結果が得られない可能性につながりかねないため、その原因や仕組みを理解しておくことが大切です。
マウスピース矯正がズレる原因
装着時間や取り外し頻度
マウスピース矯正では、1日20時間以上の装着が推奨されています。
装着時間が推奨される時間より短かったり、アライナーの取り外し回数が頻繁すぎたりすると、歯が計画された位置から後戻りしやすくなります。
アライナーは取り外しのたびにわずかに変形するため、頻繁な着脱はアライナーのフィット感を損ない、歯を動かす力を弱める原因にもなり得ます。
歯の形や移動量
歯の形状によっては、アライナーがしっかりと掴みにくい場合があります。
また、アライナー1枚で動かせる歯の距離には限界があります。
一度に大きな移動を計画したり、歯を大きく動かす必要がある場合、ズレが生じるリスクが高まります。
移動量が増えれば増えるほど、わずかなズレが積み重なり、最終的に大きなずれにつながることがあります。
治療計画とのずれ
治療開始前に作成される3Dシミュレーションは、あくまで精密な計画です。
しかし、歯の移動は多くの要因に影響されるため、計画通りに進行しないことも少なくありません。
アライナーの製造精度、スキャンデータの精度、アタッチメントの設置精度、さらには患者さん個人の咬合力や生体反応といった様々な要素が、治療計画からのずれを生じさせる原因となります。

マウスピース矯正でズレが生じる仕組み
アライナーの精度と装着精度
マウスピース型矯正装置は、精密な3Dデータに基づいて製造されますが、製造過程やスキャンデータの精度が完璧でない場合、アライナー自体にわずかな誤差が生じることがあります。
また、患者さん自身がアライナーを正確に、隙間なくしっかりと装着できているかどうかも重要です。
装着精度が低いと、歯に計画通りの力が伝わらず、アライナーが浮いてしまうなど、ズレが生じやすくなります。
歯の移動量や難易度
マウスピース矯正は、アライナーの形状によって歯を段階的に動かしていきます。
一度に無理な距離を動かそうとすると、アライナーが歯にフィットしなくなり、計画通りの移動が阻害されることがあります。
特に、歯を大きく傾けたり、回転させたりするような複雑で難易度の高い移動は、歯が計画通りに動かず、ズレが生じやすい傾向があります。

マウスピース矯正でズレる理由
外的要因によるズレ
治療中の生活習慣が原因でズレが生じることもあります。
推奨される装着時間を下回る、アライナーを頻繁に取り外す、食事の際にアライナーを外すのを忘れてしまうといった行動は、歯の計画的な移動を妨げ、ズレを引き起こしやすくなります。
アライナーを丁寧に扱わず、変形させてしまうことも原因の一つです。
内的要因によるズレ
患者さん自身の体質や、歯並びの状況が原因となることもあります。
歯の固有の形がアライナーのフィットを難しくしたり、歯が計画通りに動かない生体反応、あるいは噛み合わせの力(咬合力)が予測以上に大きい場合などが挙げられます。
また、歯の数が左右で一致しない、あるいは元々歯並びが極端に複雑であるといった、治療計画自体が難しくなるような要因も、ズレが生じる可能性を高めます。
まとめ
マウスピース矯正で歯がズレることは、治療を進める上で起こりうる現象です。
装着時間の不足や不適切な取り外しといった外的要因、歯の形や移動の難しさ、個々の生体反応といった内的要因など、その原因は多岐にわたります。
しかし、ズレが生じた場合でも、原因を正確に把握し、担当医と密に連携を取りながら適切な対処を行うことで、治療を計画通りに進めることが可能です。
諦めずに治療を継続することが、理想的な歯並びへの近道となります。


